もともと新型コロナ(Covid-19)ウイルスに免疫を持っている人がいるらしい。

9月末でコロナに対する緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が解除されることになり、安堵しています。日本での新型コロナでの死者は、9月末で合計17,650人と残念な数字ですが、米国でのコロナ死者は716,800人です(Worldometer COVID-19 Data)。

東アジアでの感染者は、アメリカ、ヨーロッパと比較して、どうして少ないのでしょう?マスク習慣や衛生面の違い、ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子の違いなどが言われていますが、ロンドンなどから興味ある報告がありますので紹介します。

コロナに罹患したりワクチン注射を受けると血液中に抗体と呼ばれるタンパク質が出現します。しかし、この抗体は日が経過するにつれ、どんどん減少してしまうという問題があり、3回目のワクチン・ブースト注射が必要と言われています。抗体は、白血球の一成分であるBリンパ球や形質細胞により作られ、その一部はコロナに遭遇した記憶を持ったまま、どこかに待機しています(これを記憶(メモリー)リンパ球と呼びます)。

では、コロナ記憶リンパ球はどうなっているのか、キングズ・カレッジのハーデイ博士らが調べたところ、コロナ抗体が陰性になった人でも、血液中にコロナ記憶リンパ球はちゃんとありました。ここまでは、それほどの驚きではありませんが、博士らはCOVID-19が流行する前に何らかの理由で採血して凍結保存された血液を調べたところ、なんと昔の血液からも新型コロナウイルスに反応する記憶リンパ球が何人もから見つかったのです。知られずして新型コロナが英国で流行していたのか?英国がCovid-19の発生地だった?

しかし、似たような話はシンガポールからも報告されています。2015-2020年に流行したSARSという感染症があります。これも別のコロナウイルスが原因でした。雑誌Natureに報告されたところでは、SARSウイルスの記憶リンパ球が流行前の2003年の血液から見つかったのです。そのほか、4種類ほどのコロナウイルスが知られ、それらは風邪のような症状を起こすだけで治ってしまうようです。

前述の新型コロナウイルス記憶細胞が昔の凍結血液から見つかった原因は、感冒ウイルスの一つであるコロナの感染で作られた記憶リンパ球による交差反応に違いないとの推論となりました。

コロナウイルスは、変異するのが早いのでワクチンが効かなくなると恐れられています。しかし、コロナ属特有の共通抗原があるらしいとの嬉しい話です。ほかの研究者によれば、コロナ共通抗原に対する記憶リンパ球を持っていれば、新型コロナ罹患で重症化する可能性は低いとのことです。

子供のころに洞窟探検などした人は、ひょっとするとコロナ記憶リンパ球を持っているかもしれません。そうでない人は、人工的にでもコロナ記憶リンパ球を手に入れるに越したことはありません。

 

情報元:https://www.the-scientist.com/news-opinion/common-cold-coronaviruses-tied-to-less-severe-covid-19-cases-68146

https://www.bbc.com/future/article/20200716-the-people-with-hidden-protection-from-covid-19

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