膵臓がんを疑ってもよい23の兆候

膵臓癌は、最もこわいがんの一つです。その理由は、進行するまで症状が出にくく、手術しても肝臓や腹膜などに転移することが比較的多いことによります。健診では一般に、アミラーゼや腫瘍マーカーであるCA19-9が利用されることが多いですが、なかなか早期発見につながらないのも問題です。

今年11月の英国国立がん研究所(NCRI)のDr Weiqi Liao博士らが、24,236人の膵臓癌患者の発見前の症状を分析して、後述する23の兆候が膵臓癌と統計的に関係していたと発表しました。多くは、非特異的な消化管症状ですが、のどが渇く、尿の色が濃くなったという二つの兆候は、今回、初めて、膵臓癌と関連が裏付けられた症状だそうです。

膵臓は、勾玉のような形をしていて胃の後ろで腎臓の前に存在します。主な機能は、消化液(アミラーゼ、リパーゼなど)の分泌と消化管ホルモン(インシュリンやグルカゴンなど)の分泌です。これらの機能失調が身体の不調として感じられるわけですが、黄疸を除いてすぐに病院を訪れなければいけないと思うような症状でないことから早期発見を難しくしています。やはり、定期的な健診が望まれます。

健診は、血液検査よりも画像診断をお勧めします。なかでも、超音波検査(US)が推奨されますが、太りがちの人や腹部にガスがたまる人では、膵臓の体尾部が良く見えないことが多いです。この点は、MRIでは解決されていますので、まずは超音波、大事をとってMRI検査をお勧めします。USやMRIでは、膵臓の嚢胞が良く見つかります。ほとんどは良性ですが、中には膵臓癌の初期所見であることがありますので定期的観察が重要です。

 また、原発事故による放射線被ばくでは、甲状腺がんの発生が問題視されていますが、膵臓癌のリスクも増大すると警鐘を鳴らしている研究者もいます。

 

<膵臓がんを疑ってもよい23の兆候>

1かゆみ 、2黄疸、3胃や腸からの出血、4嚥下障害、5下痢、6便秘、7その他の排便の異常、8便に脂肪滴が混じる、9吐き気、10嘔吐、11消化不良、12腹部膨満、13腹にガスがたまる。14腹部腫瘤、15腹痛、16体重減少、17胸やけ、18発熱、19疲れやすい、20食欲低下、21背部痛、22のどが渇く、23尿の色が濃い。

上記の兆候で気になったら、早めの健診を受けて体調を管理しましょう。