NK細胞とは
NK細胞は、自然免疫細胞の主要な細胞傷害性リンパ球の1つです。がん細胞を攻撃するのに、細胞傷害性T細胞(CTL)とは異なり樹状細胞の情報を事前に必要としないでがん細胞を破壊することができることから、生まれつき(natural)の細胞傷害性細胞(killer cell)という意味で名付けられた細胞です。NK細胞は、末梢血中のリンパ球に占める割合は5%~20%とそれ程多くはありませんが、血液を循環してがん細胞やウイルス感染細胞などの異常細胞を見つけると、いち早く単独で攻撃するという重要な役割を果たしています。
CTLとNK細胞の違い
がん細胞は分裂を続けて発達する段階で、高頻度でMHC分子(HLA-Ⅰ)またはがん抗原の提示を失うことが知られており、両者を同時に認識して攻撃するCTLでは攻撃力が低下する場合があります。しかし、NK細胞はHLA-Ⅰやがん抗原の提示に関係なく、がん細胞を攻撃することができ、免疫細胞療法に理想的な細胞であると考えられます。
NK細胞の認識方法
NK細胞は正常細胞を認識し、それ以外の異常な細胞、つまりがん細胞を攻撃します。さらに、NK細胞はがん細胞等の異常細胞に発現されるMIC A/B分子をNKG2D分子で認識して攻撃をします。
HLA-Ⅰに依存せずにがん細胞を認識・攻撃するため、進行がんに対しても治療効果が高いのです。
NK細胞療法の特徴
本療法はNK細胞培養用培地(EALI515-NK)を用い、低い血清濃度で効率的に高い細胞傷害性を保った状態のNK細胞を培養することが可能となります。
本療法において培養によって得られる「NK細胞」は約30億個以上(従来は約10億個)であり、培養された全細胞におけるNK細胞の占める割合(細胞純度)は80%~90%とトップクラスを誇ります。また、本療法においては他の「NK細胞」療法とは異なり、初期培養のNK細胞の活性化因子として特殊な試薬を用いて、増殖・活性化を促します。
基本的な治療の流れ
- 患者さんから25~65mlの血液を採取します。(約10分)
- 特殊試薬を用いたNK細胞の選択的増殖・活性化します。(培養期間は約3週間)
- 治療は外来で免疫細胞の点滴液により体内に戻します。(約1時間)
1クールを6回とし、約3週間に1回または1か月に1回の頻度で実施します。
頻回投与により、患者血液中のT細胞が減少する可能性がある為、治療毎に患者血液中のT細胞(CD3陽性細胞)及びNK細胞(CD56陽性細胞)の比率を観察して治療期間・治療間隔を決定します。
※リンパ球におけるNK細胞の占める割合の検査、または初期テスト培養(約1週間)においてNK細胞増殖の結果、本療法を実施できない場合があります。その場合、免疫細胞BAK療法による治療をお奨めします。